ド底辺の「たらいまわし王女」の私が「獅子帝」と呼ばれるおっさん皇帝に嫁いだら、超溺愛が始まりましたが……。あの、これって何かの間違いではありませんか?
「わわわ、チ、チカ、いったい、いったいどうした? 怖い夢でも見たのか?」

 ガラス扉の前で両手を振りまわしつつ、いろいろ尋ねてきた。

 そして、一瞬だけ躊躇した後、意を決したようにゆっくり向って来た。

 そのとき初めて、自分の両頬に涙が伝っていることに気がついた。
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