ド底辺の「たらいまわし王女」の私が「獅子帝」と呼ばれるおっさん皇帝に嫁いだら、超溺愛が始まりましたが……。あの、これって何かの間違いではありませんか?
「いいえ。とっても美味しかったですし、たとえ話しかけられても答える余裕などありませんでしたので」

 お愛想などではなく、ほんとうのことである。

 必死にかじりついたり頬張ったりしていたので、喋る余裕などいっさいなかった。

「夜営になると、似たような食事になる」
「楽しみですわ。いただけるだけで充分です」
「そう言ってくれるとうれしいよ。あっ、葡萄酒の方がいいかな?」
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