ド底辺の「たらいまわし王女」の私が「獅子帝」と呼ばれるおっさん皇帝に嫁いだら、超溺愛が始まりましたが……。あの、これって何かの間違いではありませんか?
「その証拠に、その証拠に、陛下は、陛下はわたしを抱いてくれないではないですか」

 ついに叫んでいた。みずから叫んだにもかかわらず、叫んでしまってから急に恥ずかしくなった。

 顔は、燃えているかのように熱くなっている。

「抱いて? いつも抱きしめて……」

 彼はそう言いかけた。言いかけた途端に、彼の顔も真っ赤になった。
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