ド底辺の「たらいまわし王女」の私が「獅子帝」と呼ばれるおっさん皇帝に嫁いだら、超溺愛が始まりましたが……。あの、これって何かの間違いではありませんか?
「かまうものか。風呂は、早朝の鍛錬後に入ればいい。もう遅い。今夜はもう寝よう」

 彼が右手を差し伸べてきた。月光の中、そんな彼が男らしくて素敵すぎる。

 そのとき、また頭の中にモヤモヤした映像があらわれた。

 なんなの? またデジャブ?

 たしかに、昔だれかにこうして手を差し伸べられたことがある。そういう気がする。

 だけど、思い出せない。
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