ド底辺の「たらいまわし王女」の私が「獅子帝」と呼ばれるおっさん皇帝に嫁いだら、超溺愛が始まりましたが……。あの、これって何かの間違いではありませんか?
 小説では、そういうことがよくあるから。

 亡国の王女の大活躍を描いているとか復讐劇とか……。

 同じ亡国の王女でも、わたしとは比べものにならないほど魅力的な王女はじつに多い。

 そういう小説を読むたび、創作とはいえあまりにも違いすぎて滑稽だった。

「チカ?」
「あ、陛下。申し訳ございません」

 すっかり考え込んでしまっていた。
 慌ててラインハルトにシャツを手渡した。
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