ド底辺の「たらいまわし王女」の私が「獅子帝」と呼ばれるおっさん皇帝に嫁いだら、超溺愛が始まりましたが……。あの、これって何かの間違いではありませんか?
 いったい、なんなのよもうっ!

 だんだんイライラしてきた。

 なにか思い出さないといけないような気がしてならない。重要ななにかを。

 それなのに、まったく思いだせそうにない。

「チカ。もしかして、きみは思い出したのか? この傷、見覚えがある……」
「お義母(かあ)様、身支度をしましょう」
「まあっ、お邪魔でしたか?」
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