ド底辺の「たらいまわし王女」の私が「獅子帝」と呼ばれるおっさん皇帝に嫁いだら、超溺愛が始まりましたが……。あの、これって何かの間違いではありませんか?
 ラインハルトがささやくように言ったタイミングで、テラスからリタとゾフィがやって来た。

「陛下、申し訳ございません。なんとおっしゃいましたか?」

 あいにく、彼のきこえなかった。傷がどうのこうのと言っていたのかしら?

「い、いや、なんでもない。あとは自分で出来るから、二人に手伝ってもらって身支度をするといい」

 彼はそう言ってくれたけど、気になるわ。

 気になってはいたが、そのあと自分の身支度でてんてこまいになってそのことは忘れてしまった。
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