ド底辺の「たらいまわし王女」の私が「獅子帝」と呼ばれるおっさん皇帝に嫁いだら、超溺愛が始まりましたが……。あの、これって何かの間違いではありませんか?
 情報量ですら、他国とは比較にならないほど少ないでしょうから。

「その噂というのは、おれもきいたことがある。まぁ度合いは多少違うかもしれないが、大筋はかわらないだろう。でっ、きみはその噂をきいてどう思っている?あるいは、その噂を信じているかい?」
「そうですね……」

 彼から視線をそらし、開けっ放しになっているガラス扉へそれを移した。

 テラスのテーブル上では、ロウソクがまだ灯っている。
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