ド底辺の「たらいまわし王女」の私が「獅子帝」と呼ばれるおっさん皇帝に嫁いだら、超溺愛が始まりましたが……。あの、これって何かの間違いではありませんか?
 深々と頭を下げた。

 わたしの愛用の小刀の発祥の地では、人々はお辞儀といって深々と頭を下げてお礼やお詫びをするらしい。

 それを真似てみた。

「こ、この小娘が……」

 そのとき、ゲオルクが豹変した。彼は、真っ赤な顔をしている。両方の拳は、ブルブル震えている。

 なにかの発作? 頭か心臓の血管が切れたとか?

 周囲の人たちはゲオルクの様子が急変しても、心配するどころか居心地悪そうに俯いてしまっている。
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