ド底辺の「たらいまわし王女」の私が「獅子帝」と呼ばれるおっさん皇帝に嫁いだら、超溺愛が始まりましたが……。あの、これって何かの間違いではありませんか?
 彼女は玄関扉を音高く閉じると、それに背中をあずけてホッと溜息をついた。

 いろいろ尋ねたいことはあるけれど、とりあえず彼女がどうでるか待ってみることにした。

「ここは、「お仕置き部屋」ならぬ「お仕置き屋敷」なのです。オイタをしたとき、ここに閉じ込められるのです」

 なるほど。彼女、ここで謹慎をさせられていたわけね。

 万が一、彼女の被害者のだれかが乗り込んできたとしても、ここなら隠れていられる。

「見たんです」

 彼女は、唐突に言いだした。
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