ド底辺の「たらいまわし王女」の私が「獅子帝」と呼ばれるおっさん皇帝に嫁いだら、超溺愛が始まりましたが……。あの、これって何かの間違いではありませんか?
 あっと、いまはそれどころではなかった。

 うす暗い中、しゃがんだ姿勢でさらに顔を床に近づけてみた。
 廊下の床上に、何か塊が落ちている。

 うっ……。

 すさまじい臭気に、わたしの低すぎる鼻がもげるかと思った。

 いまさらだけど、わたしは鼻も低い。神様は、体のすべての部位が小さいので鼻も低くしてくれたのよね。

 そんな自虐めいたことはともかく、一瞬毒のにおいかと思った。だけど、酸っぱいこのにおいは嗅いだことがある。
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