ド底辺の「たらいまわし王女」の私が「獅子帝」と呼ばれるおっさん皇帝に嫁いだら、超溺愛が始まりましたが……。あの、これって何かの間違いではありませんか?
 こういう筋書きにそうことになっているのに違いない。小説は、たいていそうだから。

 合理的だし、充分あり得る筋書きよね。

 だったら、彼らがこのまま「はい、そうですか。では、いまからひとっ走りメインの屋敷に行って、金目の物や有用な書類などを奪ってくることにします」と言い、それを実行に移すわけがない。

 さらに集中してみると、四人ともいまにも襲ってきそうな気配がする。武器か素手か、あるいはその両方でか。そうとはわからないほど微妙に指先が動いているし、わたしたちの行動を読もうと視線も動いている。
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