ド底辺の「たらいまわし王女」の私が「獅子帝」と呼ばれるおっさん皇帝に嫁いだら、超溺愛が始まりましたが……。あの、これって何かの間違いではありませんか?
 左頬に傷のある男が尋ねると、ディアナは鼻で笑った。

「公爵令嬢に価値なんてないわ。あっでも、皇妃ならあるかも。ねぇ、妃殿下?」

 ディアナ、あなたに悪気がないのはわかっているの。わかっているのだけれど、いまあなたのことを頭の中でぶん殴ってしまったこと、どうか許してね。

 左頬に傷のある男と視線が合った。

 彼の顔に気の毒そうな表情が浮かんだのは、きっと気のせいね。
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