ド底辺の「たらいまわし王女」の私が「獅子帝」と呼ばれるおっさん皇帝に嫁いだら、超溺愛が始まりましたが……。あの、これって何かの間違いではありませんか?
「そうだな。だったら、公爵令嬢は売り飛ばすとするか」
「まあっ! それはいいかも。わたし、いくらくらいになるかしらね」

 この不毛すぎるやり取りに終止符を打ったのは、かくいうわたしである。

 ディアナに気を取られている男たちに、床上でぐったりしている酢漬けキャベツを手でわしづかみし、投げつけてやったのだ。

 両手で投げつけたその二つの塊は、左頬に傷のある男とその隣にいる男の顔面に命中した。

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