ド底辺の「たらいまわし王女」の私が「獅子帝」と呼ばれるおっさん皇帝に嫁いだら、超溺愛が始まりましたが……。あの、これって何かの間違いではありませんか?
「バリケード?」

 彼女は、官能的な唇に指を一本あてた。

 落ち着くのよ、わたし。そうだわ。三歳児に言いきかせるつもりになればいいのよ。

「ディアナさん、廊下から男たちが入ってこれないようにしたいのです」

 全力で扉にもたれかかりながら、幼児に対するように諭す。

「ああ、そういうことですね」

 うす暗い中、彼女の美貌に何かが閃いた。
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