ド底辺の「たらいまわし王女」の私が「獅子帝」と呼ばれるおっさん皇帝に嫁いだら、超溺愛が始まりましたが……。あの、これって何かの間違いではありませんか?
 抜き放った小刀が、襲いかかってきた男の短刀を受け止めていた。というよりかは、奇蹟的に男の短刀にあたった。

「なにっ!」

 男の顔が、瞬時に驚きの表情にかわった。

 ええ、わたしも驚いているわ。

 彼に共感している自分が、すごく冷静であることにも驚いた。

 が、それもほんとうに瞬時のこと。男はすぐに身をひき、瞬息の間をおいて再び短刀を繰り出してきた。
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