ド底辺の「たらいまわし王女」の私が「獅子帝」と呼ばれるおっさん皇帝に嫁いだら、超溺愛が始まりましたが……。あの、これって何かの間違いではありませんか?
 一度光ると、次から次へと稲光が走る。しかも、雨音と雷鳴もすごくなってきた。

 わたしに向ってきた二人の内の一人が、ラインハルトの無言の気におされて恐怖のあまり逃げだそうとした。

 その男の動きを察知出来たわたしはすごい、と思った。

 残念ながら、察知は出来ても対処は出来ないのだけれど。

 それはともかく、踵を返して逃げだそうとしたその男は、ラインハルトにうしろから首を握られた。

 一度だけ、鳥を殺すところを見たことがある。ラインハルトは、そのときみたいに男の首をやすやすと握っている。
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