ド底辺の「たらいまわし王女」の私が「獅子帝」と呼ばれるおっさん皇帝に嫁いだら、超溺愛が始まりましたが……。あの、これって何かの間違いではありませんか?
「だれも何も言わなくていい。おれからも尋ねるようなことはしない。最愛の妻を傷つけた愚か者どもにあるのは、死だけだからな」

 そのゾッとするような宣言に、だれも何も反応出来ないでいる。

 彼は左手に男の首を握りしめたまま、上半身を折ってわたしが床上に置いた小刀を拾い上げた。

「チカ、ケガはないか?」

 そう尋ねられ、われに返った。
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