ド底辺の「たらいまわし王女」の私が「獅子帝」と呼ばれるおっさん皇帝に嫁いだら、超溺愛が始まりましたが……。あの、これって何かの間違いではありませんか?
 森の中の大木に背を預け、ぐったりしている若かりし頃のラインハルトの姿を。

 カッコいい商人風の青年を、まだ五歳だったわたしはかいがいしく介抱した。とはいえ、怖がりながら血を拭ったり、おでこを彼のそれにくっつけて熱があるかどうか確かめたり、眠ってしまわないよう話しかけたり、そんな程度だったけれど。

 そして、彼が動けると言うので別荘に連れて行った。

 お母様が彼の手当てをしてくれて、残り少ない食料を分け与えてくれた。

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