ド底辺の「たらいまわし王女」の私が「獅子帝」と呼ばれるおっさん皇帝に嫁いだら、超溺愛が始まりましたが……。あの、これって何かの間違いではありませんか?
 そんな顔以上に恥ずかしいことに、彼のお嫁さんになるとみずから宣言をした。ほんとうに彼のことが大好きだったから。

「大人になったらぜったいに美しくなる。だから、ぜったいに、ぜったいにお嫁さんにして」

 幼い頃のわたしは、そのようなとんでもないことをねだった。

 しかし、彼とのひとときは唐突に終わった。

 わたしの祖国を占領した軍が、わたしたちを見つけだして襲ってきたのである。
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