ド底辺の「たらいまわし王女」の私が「獅子帝」と呼ばれるおっさん皇帝に嫁いだら、超溺愛が始まりましたが……。あの、これって何かの間違いではありませんか?
「おっとそうだ。きみの侍女のイルマだが、弟が絵の賞を取ったというコンテストの主催者を見つけだした。その主催者を通じて、絵を見せに来るよう本人に伝えてもらうことにした。おれがその絵を見てから、帝都の美術学校に通う奨学金を出すつもりだ。賞を取ったのだ。才能がある子に違いない。よほどの絵でないかぎり、実際のところはおれがパトロンになるつもりだ。無論、秘密でだが。このくらいの融通をきかせても、バチはあたらないだろう」
「陛下……」

 ラインハルトにイルマの弟のことを話してよかった。

 さすがは愛する夫ね。
< 754 / 759 >

この作品をシェア

pagetop