ド底辺の「たらいまわし王女」の私が「獅子帝」と呼ばれるおっさん皇帝に嫁いだら、超溺愛が始まりましたが……。あの、これって何かの間違いではありませんか?
 ショックのあまり、それしか出てこなかった。喉の奥の方から、何かがせり上がってくるのを感じる。

「ほら、チカ。笑顔だよ、笑顔。なにも生き別れってわけではない。そうだな。直近では、婚儀のパーティーで顔を合わすことが出来るだろう」

 だけど、笑顔をつくることは出来なかった。努力することが出来なかった。

 こんなに悲しくて、胸がジンジンと傷むなんて……。

 わたし、どうかしてしまったのかしら。
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