ド底辺の「たらいまわし王女」の私が「獅子帝」と呼ばれるおっさん皇帝に嫁いだら、超溺愛が始まりましたが……。あの、これって何かの間違いではありませんか?
 かといって、涙のあとがとれるまで彼に会わないわけにはいかない。

 出発は、もう間もなくだし。

 とりあえず、ダメもとで顔を洗いまくってみよう。

 というわけで、バシャバシャと周囲に水を飛び散らせつつ何度も何度も顔を洗った。

 やはり、ダメだった。

 メガネをかけ、再度鏡の前に立った。
 いつもよりもひどすぎる状態の「メガネザル」が、ジトーッとした目つきでこちらを見ている。

 もういいわ。ダメなものはダメ。
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