ド底辺の「たらいまわし王女」の私が「獅子帝」と呼ばれるおっさん皇帝に嫁いだら、超溺愛が始まりましたが……。あの、これって何かの間違いではありませんか?
「えっ?」

 だから、クラウスが話しかけてきていることに気がつかなかった。

「迎えが来た」

 クラウスが、馬上で正面を指さしている。

 街道沿いの木々の間から十数名の騎兵が現れ、こちらに向ってきているのが見える。

 見ると、二人の将校が馬首を並べている。近づいて来るにつれ、黒色と茶色の馬に乗っているその将校たちは、どちらもうっとりするほど美貌である。

 そのうしろに従っている騎兵たちは、バーデン帝国軍の軍服とは違う制服に身を包んでいる。

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