ド底辺の「たらいまわし王女」の私が「獅子帝」と呼ばれるおっさん皇帝に嫁いだら、超溺愛が始まりましたが……。あの、これって何かの間違いではありませんか?
 わかっている。わかっているけれども、少しでも長く彼といたかった。

 彼にいて欲しかった。

「すまない。その、もしかして、きみが泣いたのはおれのせい?」

 ドキッとしてしまった。

「あ、いえ、あ、ちが、違うんです」

 何言っているの、わたし?

 素直に「あなたと別れたくないから泣いた」って言いなさいよ。
< 95 / 759 >

この作品をシェア

pagetop