ド底辺の「たらいまわし王女」の私が「獅子帝」と呼ばれるおっさん皇帝に嫁いだら、超溺愛が始まりましたが……。あの、これって何かの間違いではありませんか?
 小説を借りているだけでなく、乗馬の練習をしたときに以来ずっとわたしを乗せてくれている牝馬も借りている。

「どちらもきみにあずけておく。また会ったときに返してもらうよ」

 彼がそう言ったタイミングで、若き将校たちがすぐ近くまでやって来た。

「チカ、元気で。笑顔を忘れるなよ。誕生日、おめでとうっ!」

 若き将校たちに促され馬を進めると、クラウスの言葉が背中にあたった。

 嘘……。
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