君は、6人目のメンバー。
「んもう、そんな、もったいない!!!!」
バイト仲間の香中さんが、そう言いながら首を横に振る。
品出しも終わって、お客さんが途切れた時間。
香中さんは、小学生の子供がいるお母さんで、ほんと優しくて。
私がここのバイトを始めた時からいつも気にかけてくれている。
で、私はついグチとか弱音とか、親にも友達にも言いにくいことを、香中さんに話してしまって。
今、「クラスには馴染めないし、高校生活は勉強だけ頑張ることにする」って話したら……この反応。
「いやね、ヒナちゃんはほんとに偉いよ。勉強は大事!でもこんなに若くて可愛い可愛いヒナちゃんに、青春を楽しんで欲しいのよ、オバさんは!!!」
「オバさんって…」
思わず笑ってしまう。
香中さん、たまにお客さんから「オバさん」って呼ばれるとめちゃくちゃ怒るくせに。
「だってね、あの〇〇学園に通ってるのに、もったいないじゃない。しかも、先輩にあの早瀬カイトがいるのに!生カイトに会えたなんて、ヒナちゃんがほんとうらやましい!!」
そういうと、香中さんはうっとりとした表情でスイーツコーナーに目をやる。
冷蔵スイーツの棚の上には、
パティシエの格好をした男の子たちのバナーが掲げてある。
まだデビューして1年ほどだけど、主に中高生に大人気の、男の子5人組のアイドルグループ・ジェリーフィッシュ。
その真ん中、ひときわ目を引くキリッとしたイケメン……それが、早瀬カイト。
ドキッ。
ただの写真なのに。
目が合ったような気になって、心臓がギュッとつかまれる。
あの時……。
あの時の事は、ついさっきのことのように思い出せる。
教室に入ってきたこの人を見て、
時間が止まった。
なんて人だろう。
まるで神様がスポットライトを当てているような…
ううん、それよりもっと……
そう、彼自身が光をパアッと放っている感じ。
1秒、2秒…
どのくらい、見とれていたのかわからない。
すぐ近くにいた女の子がキャーッと歓声を上げて、
その声があまりにうるさくて、それでやっと我に返った。
そのあとすぐ、教室を間違えたことに気づいた早瀬カイトは立ち去ってしまって。
香中さんは、
「生カイトに会えたなんて羨ましい」なんて言ってくれるけど、私が早瀬カイトに1番近づいたのがその時。
「会った」ってより、「見た」ってだけ。
学年もクラスも違うし、忙しくてほとんど学校に来てないみたいだし、たまーに、遠目に見て、「わー、今日も光ってるなぁー」って思うくらいで……。
「……ね、ヒナちゃん!大丈夫?」
「え? あ、はい!!!」
心配そうな顔の香中さんに、私は「大丈夫です!」と答える。
恥ずかしい。
思い出しただけで、また時間が止まってた。
「ねぇ、ヒナちゃん、部活とかは?」
「部活は……、バイトあるし」
「そっか。じゃ、部活じゃなくても、なにか趣味があったら楽しいかもね」
「趣味…」
趣味は…、ある。
でも、
恥ずかしすぎて、さすがに香中さんにも言えなくて。
あははー、と、わたしは笑ってごまかした。
バイト仲間の香中さんが、そう言いながら首を横に振る。
品出しも終わって、お客さんが途切れた時間。
香中さんは、小学生の子供がいるお母さんで、ほんと優しくて。
私がここのバイトを始めた時からいつも気にかけてくれている。
で、私はついグチとか弱音とか、親にも友達にも言いにくいことを、香中さんに話してしまって。
今、「クラスには馴染めないし、高校生活は勉強だけ頑張ることにする」って話したら……この反応。
「いやね、ヒナちゃんはほんとに偉いよ。勉強は大事!でもこんなに若くて可愛い可愛いヒナちゃんに、青春を楽しんで欲しいのよ、オバさんは!!!」
「オバさんって…」
思わず笑ってしまう。
香中さん、たまにお客さんから「オバさん」って呼ばれるとめちゃくちゃ怒るくせに。
「だってね、あの〇〇学園に通ってるのに、もったいないじゃない。しかも、先輩にあの早瀬カイトがいるのに!生カイトに会えたなんて、ヒナちゃんがほんとうらやましい!!」
そういうと、香中さんはうっとりとした表情でスイーツコーナーに目をやる。
冷蔵スイーツの棚の上には、
パティシエの格好をした男の子たちのバナーが掲げてある。
まだデビューして1年ほどだけど、主に中高生に大人気の、男の子5人組のアイドルグループ・ジェリーフィッシュ。
その真ん中、ひときわ目を引くキリッとしたイケメン……それが、早瀬カイト。
ドキッ。
ただの写真なのに。
目が合ったような気になって、心臓がギュッとつかまれる。
あの時……。
あの時の事は、ついさっきのことのように思い出せる。
教室に入ってきたこの人を見て、
時間が止まった。
なんて人だろう。
まるで神様がスポットライトを当てているような…
ううん、それよりもっと……
そう、彼自身が光をパアッと放っている感じ。
1秒、2秒…
どのくらい、見とれていたのかわからない。
すぐ近くにいた女の子がキャーッと歓声を上げて、
その声があまりにうるさくて、それでやっと我に返った。
そのあとすぐ、教室を間違えたことに気づいた早瀬カイトは立ち去ってしまって。
香中さんは、
「生カイトに会えたなんて羨ましい」なんて言ってくれるけど、私が早瀬カイトに1番近づいたのがその時。
「会った」ってより、「見た」ってだけ。
学年もクラスも違うし、忙しくてほとんど学校に来てないみたいだし、たまーに、遠目に見て、「わー、今日も光ってるなぁー」って思うくらいで……。
「……ね、ヒナちゃん!大丈夫?」
「え? あ、はい!!!」
心配そうな顔の香中さんに、私は「大丈夫です!」と答える。
恥ずかしい。
思い出しただけで、また時間が止まってた。
「ねぇ、ヒナちゃん、部活とかは?」
「部活は……、バイトあるし」
「そっか。じゃ、部活じゃなくても、なにか趣味があったら楽しいかもね」
「趣味…」
趣味は…、ある。
でも、
恥ずかしすぎて、さすがに香中さんにも言えなくて。
あははー、と、わたしは笑ってごまかした。