君は、6人目のメンバー。
第2章 夢のはじまり
次の日、お昼休み。

(なんだったんだろう……)

まだ体がフワフワしている。

いつもの藤棚。
いつも通り1人ぼっちの日常。

ここでこうしていると、
昨日、人気アイドルたちと同じ空間にいたことが、ウソみたいに感じられる。

(でも、ウソじゃない…)

私のひざの上には、昨日返してもらったノートがある。

(汚い字。ジェリフィのメンバーが読むって知ってたら、もっとキレイな字で書いたのに…)

(でも、それでも早瀬カイトは私の詩を気に入ってくれた…)


ネットで検索してみると、
昨日、初公開されたあの曲はなかなか好評らしい。

よかった。

私の詩が使われてる曲が不評だったら、
なんだか責任感じちゃうよ。


あの曲、
歌番組とかでも歌ってくれるのかなー?

もうすぐ夏休み。

夏の音楽特番って、お祭り感があって好きなんだー。

もしあんな番組で歌ってくれたら……。

そんな妄想をしそうになって、ハタと正気に戻る。

そうだ、夏! 夏休み!!

夏休みといえば……バイト!!!

バイト探さなきゃー…

そう思いながらスマホを取り出す。

と、着信が1件。

電話なんて珍しいな、履歴を見て、ドキッとする。

出てきた名前は、春風さん……ジェリーフィッシュのマネージャーさん、だった。
< 8 / 9 >

この作品をシェア

pagetop