私ってそういうこと⁉ー覚醒編ー/三部作最終話❣
その4
夏美


”タダ”のハンバーガーがこんなに美味しいなんて…❣

「…そうかあ、君は滝が丘高校2年の相川さんね。そんで、陸上部主将か…」

私はまず、自分から自己紹介をしたわ

さあ、今度は”彼”の番ね…

...


「!!!」

彼の名を聞いて耳を疑ったわ

既に心臓ドキン、ドキンしてるし…

「あのう…、これ、間違いないとは思うんですけど、墨東会の南部さんですよね…?」

「えっ…❓ああ、そうだよ。…よくわかったね」

「実は私…、今年の春から南玉連合の総長補佐やってるんです。…ですから、南部さんのお名前はもう…」

「えーっ!?キミが”あの”南玉の補佐かい…❓」

南部さんはモロ驚いてたみたい

目をぱちくりさせていたし…


...


「あっ、いや、失礼…。外見で判断しちゃあいけないよな。…でも、正直、南玉連合の幹部には見えないなあ…」

この時の彼の苦笑い気味の表情、なんかよかったわあ…

偏見とかはいけないと言えども、心が捉えたものを決して覆い隠さない真摯さっていうか~~❣

「私なんか、肩書だけで全然ですから。…でも、今の南玉連祇王は図体に負けないだけの”中身”も徐々にってところです」

「うん!紅丸さんからはよく聞いてるよ。オレらはスジとして間接的にしか接してないんで”肌感”はないが、よく高校生だけであそこまでの規模になった組織運営を賄ってるもんだと、前々から感心してたんだ。そうかぁ…、君が今の南玉のねえ…」

南部さん、そう言って私をまじまじとね…

はずかしいよ…(苦笑)

...


墨東会幹部の南部聖一…❣❣

この名を南玉連合で知り得ない者はいない!

紅組とは年来の仇敵関係ではありながら、南部さんは砂垣さんの排赤方針には一貫して反対してきて、周囲の反感を受けながらも、紅丸さんとのシンパシーを通わせ続けた結果、今の都県境の安定が保たれてるんだもん!

南玉の間でもみんな、立派な人だってリスペクトしてるよ

わー、なんと、なんとだったわ…❣

その南部さんが今日の”スイッチ彼”だったのよ‼

私は完全にときめいていたわ~


...


「なあ、また会えないかな…」

「ええ、ぜひ…」

...


この日はとにかくさらっとした話だけだった

時間にして30分くらいかな…

南部さんとしては、私が現南玉連合の執行部に入ってると知ったからには、世間話の延長で安易なことを口にはできないし、ここは一旦改めて…、という気持ちが働いたんだと思うんだ

それで、かなり早めに切り上げたってことはあると…

それは何も自分の立場だけではなく、私のそれも配慮してくれてのことよ

むしろ、こっちの方に気を遣ってくれてる感じがしたなあ…

...


私たちは来週の土曜日、埼玉北部の某駅ビル内で落ち合う約束を交わしたの

そう…、あの辺りなら、さすがに都県境の顔見知りとかには会う可能性はないだろうと言うことで…

ふふ…、何も人目を忍んでって訳じゃなく、あくまで互いの組織の責任ある立場を自覚してのことよ

でも、そのドキドキ感って…

ちょっと刺激的だなって気は正直あったわ

この時点では…

私はこれから、南玉のみんなと今まで通り会っても、昨日までの私とは違うのよって…

”あの”南部さんと××なのよって、口では言わないけど…、きっと顔にはね…(薄笑?)


...


その日、帰宅後…

「…ほー、ランニングホームランかあ…。まあ、走り抜いた夏美もなかなかだが、ツーストライクのあと、いくら子供の投球とは言えランニングホームランさせる長打をなあ~。いやあ、俺も是非見たかったよ。はは…」

その晩、お父さんにはスイッチヒッターのお兄さんの報告をしてね…

まあ、機嫌はよかったわ、お父さん

お母さんもすっかり貧血は治っていたんで

その晩の夕食、家族3人で、とても美味しかったって記憶があるわ

ちなみにこの日のニメニューは湯豆腐だった


...


でもさ…

私も機嫌がよかったのを隠さなかったし、それ…、父はどう感じていたかなあってね…

とりあえず、この時は特段のツッコミはなかったけど(苦笑)

でも、お父さん…

とても素敵な人だったよ、スイッチのお兄さんは…

カレと出会えるきっかけ、ありがとうね…❣





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