聖なる夜に王子様と初めての口付けを
ダイニングテーブルの隅に、置いてある紙袋を眺めながら、私は、ベッド下に落ちていた、スマホを拾い上げた。

千歳の名前を検索して、指先でメッセージを送信する。

『ごめん、今日は、都合が悪くて行けなくなった。また埋め合わせさせて。ディナーのキャンセル代、かかるなら払わせてね』

暫く、画面を見ていたが、千歳は、気づいてないらしく、私の送ったラインのメッセージは既読がつかない。

(ディナーのお礼に、せっかく買ったのにな……)

ダイニングテーブルの片隅に置いてある、紙袋の中身は、千歳に、似合いそうだと思って買った、グレーのチェックのカシミヤマフラーが入っている。

「はぁ……ダルい」

私は、ビタミンサプリと一緒に、市販の咳止め薬を口に放り込むと、水で流し込んだ。

再度、部屋に掛けている時計をよく見れば、13時回っている。昼過ぎまで、眠ってしまうなんて、昨晩は、結構、熱が高かったのかもしれない。

私は、スマホをベッドサイドに、ことりと置くと、再び重くなってきた瞼を閉じた。

< 2 / 14 >

この作品をシェア

pagetop