キミイロの世界を、もう一度。





「それで、移植手術したんだ。ドナーが見つかったから」


な?死なないだろ?そうやって不敵に笑う降谷くんを見て、腰が抜けたように、力が入らなくなった。


「はは、俺はだいじょーぶだよ」


優しく頭を撫でられて、さらに涙が溢れる___……。


「っ、心配っ……したんだから……っ!」


降谷くんを睨むけれど、降谷くんは照れた様子で頭をかいた。


「ごめんな」


っ、降谷くんは悪くないのに……っ。


謝らせることしかできない自分にも腹が立つ。


「っ、違うから……っ。……好きだからっ、心配するの……!」


あぁ、言っちゃったな。


ここばかりは、委員長だから。なんて言うべきだったかな。


そんなことを考えると、ふいに。


唇に優しくて温かいものが触れた。


「っは、しょっぱ。……先に言われちゃったな」


「え……?」


今、降谷くんの唇が私のどこに触れたか。


理解が全然追いつかなくて、涙も止まる。



「こんな格好で、めちゃくちゃカッコわりーんだけどさ、聞いてよ」



降谷くんは、私の手を取ってゆっくりと深呼吸した。




< 29 / 33 >

この作品をシェア

pagetop