無口な担当医は、彼女だけを離さない。
そう言って笑った疾風くんの目が若干涙目だったように見えたことには気が付かないふりをした。
「何それチャラいけど一途だった系年下男子⁈ちょっと栞麗、私にも分けてよー!」
「日和は常にモテるじゃん」
「違うの!なぜかクズ男しか寄ってこないのー!」
日和に今彼氏はいない。けどしょっちゅう「地球科学科の日和ちゃんって子がかわいい」っていう噂を聞くし、きっとすぐに彼氏もできる…と私は思っている。
「まぁ私の恋愛事情は置いといて。ねね、柊さんともうデートしたの?」
「え?してないけど」
「えー?夏休みだったのに?」
「世那くんは仕事だし…」
「お医者さんって忙しそうだもんねぇ」