無口な担当医は、彼女だけを離さない。
「世那くん最近忙しそうだったよね?…寝なくて大丈夫?」
「…なんかお前に心配されると怖いんだけど」
「はっ⁈」
「俺がいたくてここに居んの。だからそんなこと心配すんな」
久しぶりに口悪い世那くんを見た気がする。
でも世那くんの口が悪くなる時は大体私のことを気にしてくれている時だって分かってるから、嬉しい。
ほんとに分かりずらい励まし方だなぁ…とは思うけど。
「ん、これ」
「え?なんですかこれ。鍵…?」
「合鍵しかねぇだろ」
突然渡された鍵。意味が分からなかった。
だって私、世那くんの家の鍵持ってる。同居する時に貸してもらった…。
「正式な合鍵だよ。同居じゃなくて…同棲?になんの?だから前のマンション解約してこい」
「えっ?あっ、はい」
「そしたらちょっとくらい金浮くんじゃねぇの?」
「でも私生活費とか入れ…」
「いいから。てか今俺の言いたいこと伝わってる?」