無口な担当医は、彼女だけを離さない。
えっと。ごめんなさい世那くん。全く分かりません…。
私がそう言いたげな顔をしていると世那くんはため息をつき、言った。
「バイト。ちょっと減らせ」
「えっ…」
「この調子だと明日無理だろ」
「い、いや行きますよっ。あんなことくらいで休んでいられないし…」
「担当医兼彼氏命令、なんだけど」
そう言われても…。
仮に世那くんと同棲して生活費が浮いたとしてもどの道奨学金を返すお金はまだ溜まってない。
もう3年の後期に入っちゃったしあと1年と半年弱。
大学卒業したタイミングで一気に払うとしたらかなり時間がない。
今の貯金額からすると…大体あと200万くらいか。
これでも生活費抑えて貯金に回したんだけどな…。