無口な担当医は、彼女だけを離さない。
「いくら足りないんだよ」
「…え?」
「奨学金。どんくらい足りないの」
「いやいやいや、待って。そんなことだめです!」
「別にやるって言ってないだろ。奨学金と同じだよ貸すんだよ」
それは、どういう…?どうしよう、さっきから世那くんが何を考えてるのか全く分かんない…!
「俺から借りれば利子も付かないしいつまでに返せとかいう期限もない。社会人になって安定したらちょっとずつ返してくれればいいよ」
「で、でも世那くんに悪い、し…」
「…ちょっと待ってて」
そう言って世那くんが自分の部屋から取ってきたのは…通帳だった。
「見ろ。それ」
「えっ…」
「いいから」