無口な担当医は、彼女だけを離さない。
「じゃあ栞麗もそれで決定でいいな?」
「え?ずっと一緒にいるってことですか?」
「違げぇよ俺がお前に金貸すって話だよ繰り返すな馬鹿!」
「え~さっきはさらっと言ってくれたのに。違うのか…」
「あ、いや…違くなくて…えっと」
あれ、世那くん私が落ち込んでるって思ってる?ふ、若干焦ってるし…。
なんだかこういう会話も久しぶりな気がして気が緩んじゃうな。
こういう時に出る世那くんの顔が他では出さないんだろうなーって顔で…これが愛おしい、ってものなのかもしれない。
「ねぇ世那くん…栞麗ちゃん、悲しい」
「…お前ぶっ飛ばすぞ」
私が面白がっていることに気が付いた世那くんにはすっごい目で睨まれたけど。
「お前のせいで話がずれたし…」
「世那くん…ほんとにいいの?こんなことしたらほんとに一生私といなくちゃいけないかもだよ?」
「んなこと前から分かってる。ほんとはこういうことがある前に言いたかったんだけどな」
「…世那くんって私のこと結構好き、だよね」
「何?殴られたい?」
「ねぇなんでよ⁈」
頑なに好きとは言ってもらえなかったけど、充分伝わったし。
世那くんに助けてもらってばっかだな…まさかの一緒にいる宣言も受けちゃったし。
ほんとに世那くんは…私のヒーローだ。
でも守られてばっかの私も情けないし、世那くんが困った時には私が助けられるように…頑張るからね。