無口な担当医は、彼女だけを離さない。


山本くんは淡々と話していく。笑顔だけどどこか寂しそうな。



「まぁそれで今こうなって。もう親とは連絡も何も取れないし完全1人でさ。もう医者とは関わらないようにしようって思ってたんだけど…さっき斎藤さんがこう、泣いちゃって発作っぽくなってるの見て。気づいたら昔父さんから教わった言葉と行動に出てた」

「あ、だから…」



あんなに落ち着いていられたんだ。


それを聞くと一気に納得がいった。


きっと山本くんが成績優秀なのも縁まで切ったんだからっていう覚悟だったりするのかな。



「なんかそしたら…すごい昔のこと思いだした。親が医者だったから途中までは自分も医者になるものだと勝手に思ってたしなりたいって思ってたな~って」

「ごめんね…思い出したくなかった、よね」

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