無口な担当医は、彼女だけを離さない。
***
「はぁっ、ぅ…」
大学敷地内を走り続けてもう何分経っただろうか。
一向に世那くんに会えない。
スマホも教室のカバンの中だし…本当に何やってるんだろう。
速く脈打つ心臓が痛くて泣きそうになる。もうこんな体嫌だ…。
こんな体じゃ世那くんなんか見つけられっこない。
優愛さんと一緒にいそうな場所も全部当たったけどどこもだめ。
教室も思いっきり反対方向だしもう無理なのかな。
そんなの嫌なのに。
「栞麗!」
その声が聞こえた途端ぶわっと涙が溢れる。
見つけてくれた。なんで。
「おまっ…馬鹿!なんで急にいなくなるんだよ!ずっと探したこっちの身にもなれ馬鹿!」
「ごめっ…ごめんなさいぃ…世那く…っう」
「…んでそんな泣いてんだよ…」