無口な担当医は、彼女だけを離さない。
日常に君がいない


瞼が重い。ずっとこのまま目を開けたくない。


でも誰かに呼ばれている気がして目を開けた。


真っ白な室内。もしかして、病院?



「…さん、斎藤さん、分かりますか?」



看護師さんに声をかけられ気が付くとたくさんの人に囲まれていた。


どうしよう、怖い。もう大丈夫になったと思ってたのに。



「斎藤さん、体調どうですか」

「…だ、やだ…」

「ちょっ…斎藤さん、落ち着いて」



逃げようとして酸素マスクを取るも看護師さんや世那くんが抑えてきて動けない。


点滴の針が抜け、赤い血が滴る。


痛いけど体が逃げようとして止まらない。ここから逃げたい、それしか考えられなくなっていた。

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