無口な担当医は、彼女だけを離さない。
「ごめん一旦外出といてくれる?人多くてパニックになってるかもしれないから」
私の異常な怖がり方に気が付いたのか世那くんは病室に2人きりにしてくれた。
「…栞麗、もう大丈夫。俺以外誰もいないから」
「っう…ごめ、なさ」
「謝んなくていいから。一旦落ち着こう」
いつもの口調で話してくれる世那くんを見て、だんだん落ち着きを取り戻す私。
手の震えも収まり、呼吸も苦しくなくなった。
「ん、落ち着いたな」
「世那くん、ごめんなさい私…」
「びっくりしたよな。ごめん。やっぱまだ俺以外だと怖いか」
下を向いたまま頷く私。申し訳なくて世那くんの顔が見れない。
「今回ちょっと危なかったから運ばれたんだけど。覚えてる?」
「は、い…」
「走らせた俺も悪いけど自分の限界くるまで走っちゃだめ。ほんとに危ないから」
「…はい」