無口な担当医は、彼女だけを離さない。


ブーッッ、ブーッッ



世那くんのスマホが鳴った。おそらく電話だろう。


ちらっと私の方を見た後に世那くんは自分の部屋に入っていった。


…今までだったら病院からか瞬太さん達の誰かしか電話なんてかかってこなかったのに。


しかも私の前で出てくれないなんてもう…そうだって言ってるようなものじゃん。



「はぁ…」



まさか自分がこんなにも面倒くさい人間だとは思わなかった。


恋愛で頭を使うなんてことないと思ってたし、依存なんてあり得ないって思ってたのに…。


恋は中毒。本当にそうだ。気が付いたら依存してるし、もう抜けられない沼のような。


知らなくてよかったことを知ると上手くいかなくなるってどこかで聞いたことがあるけど、


今になったらこの言葉も意味が分かる。


私と世那くんは一緒に住んでいることもあって色々と筒抜けすぎるのかもしれない。

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