無口な担当医は、彼女だけを離さない。


「もう聞かれちゃったなら仕方ないけど…もっかい言わなきゃだめ?」

「だからごめんって…」



申し訳なさそうに俯く世那くんがかわいくて気持ちが揺らいでしまう。


別れるわけじゃないけど…少し寂しい。自分で決めたことなのにね。



「私、しばらく世那くんと距離置きます」

「…うん」

「日和の家にいさせてもらうことになった。実は、世那くんとの距離が近すぎて…正直ちょっとだけしんどいなって、思っちゃって」

「うん」

「これはすごく自分のわがままだって分かってるし、世那くんが嫌なら言ってほしいんだけどね。…別れたくはないの。世那くんのこと嫌いになったわけじゃないし、好きだし。だから普通に会った時はいつも通り話したい。」

「そんなん俺もだよ。なんなら…今は出て行ってほしくないって思ってるよ」

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