無口な担当医は、彼女だけを離さない。
一瞬時が止まった気がした。
好きじゃない?優愛さんが?
いやでもあの日の顔見ればただの友達なだけじゃないことくらい…。
「確かに学祭の時は久しぶりだったし…彼女持ちじゃなかったら復縁とかもあるかなっ?ってちょっと期待したけどさ。でも栞麗ちゃんっていう彼女さんがいるんなら話は別。こんなに可愛い子を傷つけてまでなんかじゃないし」
「そう、だったんですね…」
完全に優愛さんの方が大人だったってことじゃん…。
恥ずかしい。私はこんなことで1ヶ月も悩んでいたのか。
「だから諦めるみたいなこと言わないでよ!世那、栞麗ちゃんのこと大好きだし」
「そ、そこまでではないですよ。絶対」
「いやあるよ。だって言ってたよ私が栞麗ちゃんの病室に突撃しちゃったあの日。栞麗は私が元カノだって知ってるから余計な事すんな。誰だって複雑な気持ちになるだろ。俺はもう栞麗を傷つけるようなことしたくないんだよって」