無口な担当医は、彼女だけを離さない。
「ごめ、なさ…っ、大丈夫です」
「でも…」
「ありがとう、ございます。私っ…世那くんが好き、なので。絶対諦めたりしません…っ」
「…うん。世那にはきっと栞麗ちゃんが必要なんだよ。ここ最近ね、仕事で会う機会が多かったんだけど…なんか元気なかったもん。あ、今日ももちろん仕事で来たんだけどね。だから早く会ってあげて?じゃないとあの人そろそろ倒れるよ」
優愛さんはふふっと笑って私の涙を拭いてくれた。
…なんだ。本当にずっと誤解していたのは私の方だったんだ。
世那くんはずっと一途に私を見てくれていたんだ。
「そういえば…栞麗ちゃんもしかして今日診察⁈待ってごめん引き留めちゃった!!何時から⁈」
「っあ…17時、です」
「待ってほんとにごめん時間すぎちゃった!!私も一緒に行って謝る!謝らせて!」
「え?あ、ちょ…!」