無口な担当医は、彼女だけを離さない。


「ごめ、なさ…っ、大丈夫です」

「でも…」

「ありがとう、ございます。私っ…世那くんが好き、なので。絶対諦めたりしません…っ」

「…うん。世那にはきっと栞麗ちゃんが必要なんだよ。ここ最近ね、仕事で会う機会が多かったんだけど…なんか元気なかったもん。あ、今日ももちろん仕事で来たんだけどね。だから早く会ってあげて?じゃないとあの人そろそろ倒れるよ」



優愛さんはふふっと笑って私の涙を拭いてくれた。


…なんだ。本当にずっと誤解していたのは私の方だったんだ。


世那くんはずっと一途に私を見てくれていたんだ。



「そういえば…栞麗ちゃんもしかして今日診察⁈待ってごめん引き留めちゃった!!何時から⁈」

「っあ…17時、です」

「待ってほんとにごめん時間すぎちゃった!!私も一緒に行って謝る!謝らせて!」

「え?あ、ちょ…!」

< 239 / 308 >

この作品をシェア

pagetop