無口な担当医は、彼女だけを離さない。
優愛さんの隣で中々呼吸が整わない私を見て世那くんは優愛さんを責める。
待って世那くん、優愛さんは悪くない。そう言いたいのに呼吸が乱れて伝わったかどうか分からない。
「栞麗これ飲んで。いつも発作起きた時に飲んでる薬」
素早く世那くんは私に薬と水を渡し、飲ませてくれた。
過呼吸気味になってしまったせいか少し頭がふらふらする。
「ここ座っていいから」
世那くんはそれにも気が付いたのか椅子を用意し、座らせてくれた。
発作は軽いものだったので薬を飲むとすぐに落ち着く。
その後診察も兼ねて聴診をする。
「栞麗ちゃん、ほんとにごめんなさい…この間から何度も…」
「走ったら毎回こうなるわけじゃないしたまたまなので…ほんとに気にしないでください。世那くんも、優愛さんのことは責めないで」
「…分かったよ」