無口な担当医は、彼女だけを離さない。


『今どこ?』

『いつもと同じところだけど。世那くんこそどこにいるの?』

『あー、まっていたわ』



世那くんからそう返信が返ってきた数秒後。



「おまたせ」

「わっ⁈後ろからこないでよ…」

「おい一応初デートだぞ」



17時。誕生日会の時と同じく駅前に集合した私達。


クリスマス仕様に飾り付けられた電飾が2人を照らしていた。



「さて今日はどこに行くでしょう」

「イルミネーションでしょ?」

「…お前ほんとに可愛げねぇよな」

「だってこの時期にこの時間から行くところってそれくらいしかないもん」



今日も今の今までどこに行くか聞かされていなかった私だけど予想は的中。


今更かわい子ぶって「え~?どこだろう!」なんて言うのは恥ずかしくてできなかった。



「でもどこかは知らない」

「だろうな。まぁ着いたら分かる」

「…結局今日も行き先教えてくれないんだ」

「いいからいいから。…ん、手」

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