無口な担当医は、彼女だけを離さない。


「あーやば一気に回ってきた、かも」

「ほらやっぱり…今日飲みすぎだよ」

「だって…お前の、せい」

「え?私?」



珍しくお酒で顔を赤くした世那くんの足が止まり、両手で手を握られる。


目もうるうるしてて昼間の大人の男の人感はゼロ。世那くん酔っちゃうとこんな感じになるんだ…かわいい。



「だって…栞麗がなんか元気、ないから。肉食べてやっと笑ってくれた、けど…」

「えぇ?そ、そうだった…かな?」

「最初照れてるのかと思った…けど、なんか違うみたいだし。気、紛らわすために飲んでたら…酔、った」

「ち、違くて!ごめんっ…えっと違うよ?楽しくなかったとかそんなんじゃなくて」



俯いていた世那くんは顔を上げる。


今すぐ弁解したいけどお酒の入った世那くんがかわいすぎて何も頭に入ってこないんだけど…⁈



「…何、笑ってんの」

「ごめ…世那くん、かわいい」

「はぁ…?うざ」

「だっていつもと違いすぎるもん!さっきまで普通だったのに…今めちゃくちゃかわいい」

「嬉しくねーし…」



さっきまで離れて見えた世那くんが今はこんなにも近く感じる。


本来私の知ってる世那くんってこっちの世那くんかも。


外でピシッとしてて少し不愛想な世那くんは見慣れなくて。

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