無口な担当医は、彼女だけを離さない。
「そんなん…栞麗の方がかわいい、よ」
「…酔いすぎだし」
「違う。今日…ずっと思ってた。最近家での栞麗しか見てなかったから、いきなりメイクとかされると無理…」
「いや私もだけど⁈今日ずっと世那くんかっこいいし私なんか隣にいていいのかなってずっと思ってて…」
「もしかしてそれが理由?」
目を逸らしながら首を縦に振る私。
その途端世那くんは安心したのかその場に座り込んでしまった。
「せ、世那くん」
「んだよ…そんなこと」
「え?」
「…俺と付き合うことにしたの、後悔してんのかと思った」
「そんなわけないじゃん…ばか」
なんだ…世那くんも超くだらないことで悩んでたんじゃん。
私達ってほんとに馬鹿だなぁ。こうやって話しちゃえば一瞬で解決しちゃうことなのに。
そう思うと笑えてきた。世那くんに関してはこんなになるまで飲んじゃってるし。
「あ…そう、だ。これ」
「え?何…」
世那くんが自分のポケットから取り出したのは…黒くて四角い箱。
「えっ、何?これ」
「…開けて?」
世那くんからその箱を受け取りそっと開けてみると。
「えっ⁈ネックレスじゃん!」
「うん…ごめん。こんなぐだぐたに…渡す予定じゃなかったんだけど」
箱の中にあったのは小さな星がアクセントとなっているネックレスだった。