無口な担当医は、彼女だけを離さない。
「待ってごめん…私世那くんに何も…」
「いや俺があげたかったの。たまたまそれ見つけて…栞麗そういえば星好きだったなって、思って」
いつもより少し優しい笑い方をして世那くんは言った。
胸がぎゅっとなる感覚。どうしようもなく世那くんのことが好きだ、私。
どれだけ周りの人が不釣り合いだって思っても私は世那くんの傍にいたい。いやいるんだ。
世那くんの笑顔を見て私はそう思った。
「ありがとう…かわいい」
「ん、貸してみ…つけてあげる」
世那くんにネックレスを渡し、私も同じ高さまでしゃがむ。
手が触れるか触れないかの瀬戸際で動いていてなんだかくすぐったい。
「…世那くん、つけられた?」
「んー、まだ…」
「ほんとにまだ?」
「まだ。なんか前からだとつけづらい…」
多分2人とも気が付いていた。
ネックレスをつけるのなんか簡単で私を照れさせるためにこんなことをしていることは。
いつもなら自分でつける、とか言って可愛くない反応をしていたところだったけど今日は少し素直になってみようと思った。
世那くんも酔ってるしこのくらいならきっと大丈夫。そう思っていた。
「はいはいつけられたよ」
「遅いよもう…」
あまりにも長い装着時間が終わり2人の目が合う。
この時目が合って気が付いた。…世那くん、絶対もう酔い覚めてる。
さっきまでの潤んだ目はなくなっており完全にいつもの意地悪モードの世那くん。