無口な担当医は、彼女だけを離さない。
「うっわ…」
「世那くん何も聞かないで触れないで」
「分かってるよ。高橋さんも、ありがとう」
「ふ、柊さんほんと顔に出やすいよね~。じゃ、栞麗明日ね」
「うん」
夜。世那くんはまんまと日和の家で泣きつぶれた私のことを迎えに来てくれた。
昼から日和と飲んでいたら途中からお酒も涙も止まらなくなっちゃって…きっと今酷い顔してるんだと思う。
迎えに来てくれた時の世那くんの顔が明らかに引きつってたし。
かなり飲んだけど、酔いは結構覚めていて頭ははっきりしている。
ただ泣きすぎて頭が少し痛いくらい…かな。
「これ帰ってすぐ冷やさないと明日まで腫れ治らないなー…」
「昨日からずっと泣いてるからな。そりゃ目も腫れる」
あ…やっぱり私昨日も泣いてたんだ。
起きた時微かに頬が濡れていたのは気のせいじゃなかったんだね。
「でも結構泣いたおかげでかなり回復した。世那くんも…迷惑かけてごめんね」
「謝んの禁止っていつか言わなかったっけ」
「…知らない」
「じゃあもっかい言う。謝んの禁止。俺に隠れて泣くの禁止。変に無茶するの禁止」
「なんか増えてるし…ばか。過保護」